助けて欲しい  2006.12.19


 訳もなく。
 何ものからさえわからないけれど。

 助けて、と叫びたいことがある。

 空気の中から酸素を選び取れずに、溺れてしまいそう。
 凍てついた心が粉々に壊れてしまいそう。
 けれどわたしは何も出来ずに。

 ただ、助けてと、祈るだけ。

 声に出さないその祈りが届くことなど無いとわかっているけれど。
 どうしても声にすることが出来ない。
 理由はやはりわからない。

 ただ、
 独りで、
 沈んでゆく。
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流 水  2006.1.11


水は流れる、

音もなく、

ただひたすらに、

澄みきって、

わたしの心の、

靄さえも、

何処かの果てへ、

押し流す、

出来うることなら、

この身体、

その清浄な

水底に、

引きずり込んで

下さいな。
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醜い星  2006.3.15


わたしの涙はきっと
醜い星になるだろう

星はすべて綺麗なもの

そう信じたいけれど
わたしの心を映した星は
きっと濁った青灰色で
鈍くてよわよわしい光しか
持ちえないだろう

心の靄が
醜い星になったとて
わたしの心じたいが
綺麗になるわけじゃなくて……
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秋 雨  2005.10.15


窓を開けると
小雨で冷やされた秋の空気が
さらさらと肌を撫でる

秋の雨はもの悲しくて
すこし憂鬱な気分になる

現在の悩み
現在の幸せ
いろんな気持ちがごちゃまぜになって
心がきしむ

この秋の空にも
わたしの心にも
はやく青空がのぞきますように
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沫雪のなごり  2005.10.15


凍てついた空気のうえを
さらさらと滑り降りてくる
春の沫雪

冬の名残を惜しんでいるの?
それとも
別れの春を厭うているの?

あれも雪の降る日のことだった
駅のホームで貴方とふたり
同じ電車に乗って帰ったね

貴方の声も、姿ももう
ちかくには無いけれど

遠くなってしまった貴方だから
きっともう
並んで立つことなどないでしょう

沫雪はわたしの手の甲に降りて
水滴に変わる
こぼれないわたしの涙の代わりに

雪が降り積もるように
わたしたちの関係も
だんだんと隔たってゆくのでしょう

だけどわたしは忘れない
貴方が居たこと
貴方が居た日々のことを
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おへや  2006.2.24


わたしのお部屋へようこそ、貴方

なんにも無いけど歓迎するわ

真っ青な天井のした

なにをしたい?

なんでも揃っているわ

けれど貴方が許すのなら

わたしはすみっこに居たいのよ

ぎゅっとうずくまって居たいのよ

理由など野暮なことは訊かないでね

それでも良いのなら

貴方にずっと此処に居て欲しいのよ
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Bitter  2006.1.27


わたしをちょっと齧ってみたらわかることだわ。

一見甘そうでも、中身はしっかりほろ苦いこと。

甘く見せているのは、その方が皆に甘やかしてもらえるから。

甘やかせてもらったわたしは、どんどん、どんどん甘くなる。

外側だけが、とろとろに甘くなる。

だから、外気に触れないビターな部分が、よけいに苦く感じるのよ。

わたしは甘くないの。

それでも、貴方はわたしをすべて呑みこんでくれる?
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